2016.10.25
知的障害と障害年金の認定基準
知的障害とは、発達期(18歳くらい)までに発病した知的機能の障害により認知能力などの発達が全般的に遅れてしまっている状態をいいます。
一般的には学習障害と混同されがちですが、この2つの違いとして知能指数(IQ)が70未満の場合には知的障害とされ、70以上で学習障害の症状がある場合には学習障害とされます。
知的障害の症状
知的障害の症状として軽度から最重度までのレベルがあります。
例えば、軽度知的障害の場合は食事や衣服着脱・排せつなどの日常生活スキルには支障がありませんが、理解力や表現力、複雑な意思決定や突発的な出来事などの対処が苦手な傾向にあります。
最重度知的障害になってくると言語や運動機能の発達が遅く、ひらがなの読み書きも困難となってきます。また情緒の発達も未熟となっていますので日常生活においても必ず家族や周りの人の介助が必要となります。
このように知的障害にはいくつかの段階がありますが、知的障害の症状の重さを判断する基準としてIQが上げられます。
知的障害の区分
IQ20未満 最重度知的障害
IQ20~34 重度知的障害
IQ35~49 中度知的障害
IQ50~69 軽度知的障害
IQ70~84 境界域(ボーダーライン)※
IQ85以上 健常者
※境界域(ボーダーライン)とは、軽度知的障害よりも知能指数が高いが、健常者のラインには
届かない状態をいいます。
知的障害の検査
知的障害であると判断するための検査としていくつか利用されているのですが、日本で行われている代表的なものとしては「田中ビネー知能検査Ⅴ」が挙げられます。
これは2歳から成人まで利用することが出来る知的障害に関する検査のひとつで、日常生活において必要な知能と学習する上において必要な知能の2つを測定する際に用いられています。
また就学する5~6歳の年齢にフォーカスをあてることによって特別な配慮が必要かどうかを判断するための「就学児版田中ビネー知能検査V」と呼ばれる派生した検査もあります。
この田中ビネー知能検査Vの特徴としては、検査に用いられる道具を子供が興味を持ちやすいものにしていることで、理解能力に乏しい知的障害の子供でも安定して検査を受けられるようになっています。
障害年金の知的障害の認定基準
1級
知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
2級
知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの
3級
知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの
※知的障害での障害年金は、そのほとんどが障害基礎年金の請求になるため障害等級は1級または2級に該当する必要があります。
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