鈴木 伸之のブログ

2016.10.20

統合失調症と抗精神病薬

 

抗精神病薬とは、主に統合失調症や双極性障害の躁状態の治療に使われる薬ですが、現在その他の幅広い精神障害にも使われています。

よく似た名前の向精神薬と混同されがちですが、向精神薬とは抗精神病薬を含む精神に作用するすべての薬の総称です。

抗精神病薬は1950年代から開発が始まった薬で、その後様々な種類が生まれ改良が加えられてきました。

現在は、大きく分けて定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の2種類があります。

 

 

定型抗精神病薬(第1世代抗精神病薬)

定型抗精神病薬は第1世代抗精神病薬とも呼ばれ、脳内のドーパミンに対して強い抑制作用を持つタイプの薬です。

ドーパミンとは、日常生活において快感を得た時に分泌される脳内神経伝達物質です。

脳内にある神経経路の一つである中脳辺縁系でドーパミンが過剰に分泌されると、幻覚や妄想と言った陽性症状が現れることになります。

そこで第1世代抗精神病薬は、ドーパミン受容体に作用することでドーパミンの過剰な分泌を抑えることを目的としています。

しかし、第1世代抗精神病薬はドーパミンの抑制に効果があったものの、効果が強いせいで錐体外路症状など副作用が大きかった点、そして感情鈍麻や意欲、自発性の低下と言った陰性症状を改善できないという欠点がありました。

 

 

非定型抗精神病薬(第2世代抗精神病薬)

非定型抗精神病薬は第2世代抗精神病薬とも呼ばれ、1990年以降に開発された薬のことを言います。

現在ではこちらが第一選択薬として用いられています。

第2世代抗精神病薬は陽性症状と陰性症状両方に効果があり、副作用が少ないという点でも優れています。

また様々な種類があり、例えば「SDA系」は脳内神経伝達物質であるセロトニンとドーパミン両方の受容体を遮断することで、陽性症状と陰性症状の両方に効果をもたらします。

「MARTA系」はセロトニンとドーパミンだけではなく、その他の神経伝達物質の受容体に作用することで、過剰な働きを抑制します。

「DSS系」はドーパミンの分泌を抑制したり促したりすることで症状の緩和を目指します。

 

 

現在主流となっているのは第2世代抗精神病薬ですが、急性期の激しい症状を沈めたりする場合など、第1世代抗精神病薬が使われる場面もなくなっていません。

 

 

 

第1世代抗精神病薬

  一般名        商品名

 ハロペリドール   (セレネース)

 クロルプロマジン  (コントミン)

 ゾテピン      (ロドピン)

 

 

第2世代抗精神病薬

 SDA

  一般名        商品名

 リスペリドン    (リスパダール)

 パリペリドン    (インヴェガ)

 ペロスピロン    (ルーラン)

 ブロナンセリン   (ロナセン)

 

 MARTA

  一般名        商品名

 オラザピン     (ジプレキサ)

 クエチアピン    (セロクエル)

 

 DSS

  一般名        商品名

 アリピプラゾール  (エビリファイ)

 

 

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