PEA(リン酸エタノールアミン)とは、脳内に多く存在するリン酸アナンダミドから作られる物質です。
リン酸アナンダミドが分解し、「PEA」と「アナンダミド」になります。
リン酸アナンダミド → ・PEA(リン酸エタノールアミン)
・アナンダミド
アナンダミドは脳の神経伝達物質の一つで、「快感」や「喜び」などの感情に関わることが知られています。
アナンダミドは主に脳内で働き、PEAは血液を通じて抹消まで流れていきます。
そのためPEAは血液検査で測定ができるのです。
最近、このPEAの数値を測定することで、うつ病の診断につながることが分かってきました。
うつ病の研究が進んだ結果、うつ病になるとPEAの数値が低下することが分かったためです。
PEAの数値が低いということは、元々の物質であるリン酸アナンダミドの量が少ないということになります。
そして、そこからつくられるアナンダミドの量も少ないということになります。
つまり、アナンダミドは「快楽」や「喜び」に影響する物質のため、アナンダミドが少ないとうつ病になりやすいという理屈です。
今までうつ病の診断は医師が患者本人の症状を聞き個別に判断していましたが、明確な基準がないため判断にはバラつきが生じていました。
DSM-5などの診断マニュアルはありますが、それでも診断にはバラつきが出てしまいます。
しかし、PEAは血液検査で測定することができ、はっきり数値に現れるため判断もつけやすくなります。
また、数値が低いほど、うつ病が重いということも分かっています。
そのため、うつ病の経過を判定する指標としても使えます。
また、うつ病の薬にはSSRI(脳内のセロトニンの濃度を上げる薬)とSNRI(脳内のセロトニンとノルアドレナリンの濃度を上げる薬)があります。
現在では、どちらの薬にするかは主治医が個々に判断しています。
しかし、PEAの数値を測ることによって、患者に向いている薬がある程度判断できるのではないかと言われています。
それは、SSRIがPEAの数値を下げる方向に働き、SNRIは上げる方向に働く傾向があるため、数値が高い場合にはSSRIを選択し、低い場合はSNRIを選択することができるからです。
ただし、この検査は100%の精度ではありません。
「PEAが正常だから、うつ病ではない」とはならないという事です。
さらに、現在このPEAの検査は保険適用外のため、自費で負担することになりますので注意が必要です。