双極性障害というのは、気分が高揚する「躁状態」と、その反対に気分が落ち込みがちになる「うつ状態」の両方を繰り返す病気です。
従来は躁うつ病と呼ばれていましたが、一般的にいわれるうつ病は単極性、つまり「うつ状態」だけが継続するのに対して、躁うつ病の場合には気分の波が「躁状態」と「うつ状態」の2つの方向にわたる精神的な障害であることから、双極性障害という名前になりました。
この双極性障害については、気分の波がどのように発現するのかによって、双極性障害1型、2型という異なるタイプに分けられています。
したがって、単に双極性障害であるといっても、それが1型であるのか、2型であるのかによって症状や対応が異なることになります。
双極性障害1型
双極性障害1型の場合には、気分の高揚と落ち込みのサイクルがはっきりと出ているもので、従来いわれている躁うつ病の世間的なイメージにもっとも近いといえます。
躁状態のときは、言葉遣いや態度が横柄になったり、じっとせずに動きまわったり、見境もなく買い物などで散財をしたり、他人が困惑するほどしゃべりつづけたりします。
その結果、日常生活が成り立たなくなってしまったり、親しい人たちから誤解されてしまうことがあります。
一方、うつ状態に入ったときには、何についてもやる気がなくなったり、生活のなかで喜びが感じられずに無表情になったり、食欲不振や不眠などの身体的な症状があらわれたりします。
双極性障害2型
双極性障害2型の場合には、気分が落ち込むうつ状態については顕著にみられるものの、躁状態のほうは軽度であって、単に心身の調子がよい時期としかみられないことがあります。
そのため、単極性のうつ病とまぎらわしく、本人自身もそのように思い込んでしまうことがあるため、しばしば誤診にもつながりかねないというリスクをはらんでいます。
うつ病の治療と双極性障害の治療とでは用いられる薬なども違うため、双極性障害2型の場合は特に相応の注意が必要となります。