認知症とは「正常の老化の範囲を超えた脳の後天的な器質的病変により、記憶力や判断力、実行力や会話能力など、いったん発達した知的機能が持続的に障害されて、通常の社会生活を営むことが困難になる疾患」と定義されています。
今までの私の審査担当者としての経験上、障害年金の申請で多い認知症は次の3つです。
・アルツハイマー型認知症
・レビー小体型認知症
・脳血管性認知症
そこでこの3つの認知症について記載したいと思います。
まずはアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症とは、脳にアミロイドβやタウなどの特殊なたんぱく質が溜まることで神経細胞が壊れて認知機能に障害が生じるとされています。
さらに徐々に脳が委縮していき身体の機能も失われていきます。
認知症の中で最も多いのが、このアルツハイマー型認知症で、男性より女性に多いとされています。
症状
アルツハイマー型認知症の代表的な症状としては、記憶障害いわゆる物忘れです。
通常は、必要なことを忘れてしまっても誰かに指摘されれば思い出せるものです。
しかしアルツハイマー型認知症の場合は、体験したこと自体を忘れてしまうために人に指摘されても思い出すことができないようになります。
また判断能力の低下も起こるとされており、料理や掃除などいくつかの手順を踏んで行う作業の場合は、何を初めに行ったらいいかなどの判断ができなくなります。
その他の症状としては、自分の居場所がわからなくなって迷子になったり、家の中においてもトイレの場所がわからず失禁してしまう見当識障害を発症してしまうこともあります。
対応方法
アルツハイマー型認知症の方は、同じ話題を何度も繰り返すことがありますが、それは自分が話した事を忘れてしまっているために話すのですが、聞く方にしたら何度も同じ話をされると「もうそれは聞いたよ」と怒りたくなることもあります。
しかし、話題を繰り返す事に怒らないようにして、できるだけ耳を傾けてください。
なぜならば本人は怒られたという感覚だけが残りやすく、うつ状態に繋がる可能性もあるからです。
認知症は症状が進行してから治療を行うよりも、早期発見・早期治療を行うことで症状の進行を緩やかにすることができるとされていますので、家族の行動に異変を感じたら早期の受診をするのが望ましいと言えます。
また、薬の服薬については、患者本人が飲み忘れたり、飲んでないと思って多く飲んでしまうこともありますので、できれば家族や周囲の人が薬の管理をするほうが望ましいでしょう。
認知症の障害年金の認定基準
1級
高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため常時の援助が必要なもの
2級
認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため日常生活が著しい制限を受けるもの
3級
1 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり労働が制限を受けるもの
2 認知障害のため労働が著しい制限を受けるもの