うつ病の方に処方される抗うつ薬は、一般的に西洋医学に基づく薬ですが、漢方薬は漢方医学に基づく薬です。
西洋医学と漢方医学では、病気に対する視点が異なります。
抗うつ薬と漢方薬の違いは、この視点にあると言っても過言ではありません。
西洋医学では、うつ病は脳内伝達物質セロトニンが不足することによって発症する脳の病気だと考えられています。
そのため、セロトニンの量を増やす効果のある抗うつ薬を中心に治療が行われます。
しかし、抗うつ薬は副作用が出やすいのが難点です。
その一方、漢方医学では「気・血・水(き・けつ・すい)」という考え方に基づいて治療を行います。
「気」は、元気や気力
「血」は、血液やホルモン
「水」は、全身を潤す体液(汗、尿、涙、リンパ液など)
そして漢方医学は体全体のバランスを見ていき、うつ病は体をめぐる「気」がスムーズに流れていない状態と捉えています。
そのため体の「気」の流れを中心に見ていき、「気」のバランスを整えたり、気持ちを鎮める効果のある漢方薬を使用して症状を緩和させていきます。
現在うつ病に対する処方としては、西洋医学の抗うつ薬が第一選択薬となっています。
一方漢方薬は、軽度のうつ病の方に使用されることが多く、抗うつ薬の副作用対策として使用されることもあります。
漢方薬の良い点は、抗うつ薬より副作用が少ない点です
逆に悪い点は、人間の持つ自然治癒力を高めるという観点から即効性はなく緩やかに効き始めます。
また効果に個人差が大きく、効かない人には全く効果を現しません。
もし漢方薬に興味のある方は、主治医に漢方薬を処方できるか相談してみることをおすすめします。
また、「クリニックや病院を受診するのは敷居が高い」と思われている方は、漢方専門薬局の薬剤師に相談してまず試してみてはどうでしょうか。
ただし、漢方薬にも発疹、食欲不振、下痢などの副作用が出ることもありますのでご注意ください。
漢方薬
半夏厚朴湯 (はんげこうぼくとう)
加味逍遙散 (かみしょうようさん)
加味帰脾湯 (かみきひとう)」
桂枝加竜骨牡蛎湯 (けいしかりゅうこつぼれいとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯 (さいこかりゅうこつぼれいとう)